環境工学の問題は、仕組みがわかれば暗記が少なくて済む分野です。 換気は「空気がどちらへ流れるか」、採光は「空の明るさとの比」、結露は「冷たい面で水蒸気が水に戻る」。 この3つの絵を頭に置いて読めば、正誤の判断がつきます。 法令の数値は、2026年1月1日時点の建築基準法・同施行令の条文で確かめています。

換気

機械換気の3つの方式

方式 給気 排気 室内の圧力 向いている室
第1種 送風機 送風機 自由に設定できる 劇場、機械室など給排気を確実に制御したい室
第2種 送風機 自然排気口 正圧 手術室、クリーンルーム(周りの汚れた空気を入れない)
第3種 自然給気口 送風機 負圧 便所、浴室、厨房(臭気・水蒸気を周りへ漏らさない)

正圧は「押し出す」、負圧は「吸い込む」と考えます。 **汚れを外に出したくない室は負圧(第3種)、汚れを入れたくない室は正圧(第2種)**です。

自然換気の2つの力

種類 原動力 換気量が増える条件
温度差換気(重力換気) 室内外の空気の重さの差 室内外の温度差が大きい、上下の開口の高低差が大きい
風力換気 建物に当たる風の圧力 風速が大きい(換気量は風速に比例)

冬に室内が暖かいと、軽い空気が上へ抜け、上の開口から流出、下の開口から流入します。 流出と流入が切り替わる高さを中性帯といいます。 温度差換気の換気量は、温度差や高低差に単純に比例するのではなく、それぞれの平方根に比例して増えます。

必要換気量の計算

汚染物質を許容濃度以下に保つための換気量は、次の式で求めます。

記号 意味
Q 必要換気量(m³/h)
M 汚染物質の発生量(m³/h)
Ci 室内の許容濃度
Co 外気(給気)の濃度

Q = M ÷(Ci − Co)

例えば、二酸化炭素の発生量が0.02m³/h、許容濃度0.1%(0.001)、外気0.04%(0.0004)なら、 Q = 0.02 ÷ 0.0006 ≒ 33m³/h です。 外気の濃度を引き忘れるのが典型的なミスです。 換気回数(回/h)は、換気量 ÷ 室の容積で求めます。

法令の数値

項目 内容 根拠
居室の換気に有効な開口部 床面積の 1/20以上(技術的基準に従った換気設備を設ければ不要) 建築基準法28条2項
火を使う調理室など 政令で定めるものを除き、換気設備を設ける 同28条3項
自然換気設備の給気口 居室の天井の高さの 1/2以下の位置 施行令129条の2の5第1項
自然換気設備の排気口 給気口より高い位置 同上
シックハウス対策の機械換気 住宅等の居室は換気回数 0.5回/h、その他の居室は 0.3回/h で計算した量以上 施行令20条の8
中央管理方式の空調の基準 二酸化炭素 1,000ppm以下、一酸化炭素 6ppm以下、相対湿度 40〜70%、気流 0.5m/s以下 施行令129条の2の5第3項

採光

昼光率

昼光率 = 室内のある点の照度 ÷ 同時刻の全天空照度

全天空照度は、直射日光を除いた空の明るさです。 空が明るくなれば室内も同じ割合で明るくなるので、昼光率は天候や時刻が変わってもほぼ一定です。 だから採光の良し悪しの指標に使えます。

  • 昼光率は、窓から直接届く直接昼光率と、壁・天井で反射して届く間接昼光率の和。内装の反射率が高いほど大きくなる
  • 同じ面積なら、天窓は側窓より採光に有利(施行令20条でも天窓は採光補正係数を3倍にする)
  • 側窓は、高い位置にあるほど光が室の奥まで届く

建築基準法の採光の割合

居室の採光に有効な開口部の面積は、床面積に対して1/5〜1/10の範囲で政令が割合を定めています(法28条1項、施行令19条3項)。

居室 割合
幼稚園・小学校・中学校・高等学校などの教室、保育所の保育室 1/5以上
住宅の居住のための居室、病院・診療所の病室、寄宿舎の寝室 1/7以上
上記以外の学校の教室、病院などの談話室・娯楽室 1/10以上

照明設備の設置など国土交通大臣が定める措置を講じた居室は、1/10までの範囲で別の割合にできます(施行令19条3項ただし書)。 ふすま・障子など随時開放できるもので仕切られた2室は、1室とみなします(法28条4項)。

結露

表面結露と内部結露

種類 起きる場所 主な対策
表面結露 窓ガラスや外壁の室内側の表面 断熱を強めて表面温度を上げる、換気で室内の水蒸気を減らす、空気を滞らせない
内部結露 壁や屋根の内部(断熱材の屋外側寄り) 断熱材の室内側(高温側)に防湿層を設ける

空気が冷やされて水蒸気が水滴になり始める温度を露点温度といいます。 表面の温度が露点温度以下になると結露する、というのが唯一のルールです。

結露しやすい場所

  • 外壁の出隅(隅角部) — 室内側より屋外側の面積が大きく熱が逃げやすいうえ、空気がよどむ
  • 熱橋(ヒートブリッジ) — 柱・梁や金物など、断熱が途切れて熱が通りやすい部分
  • 押入れや家具の裏 — 空気が動かず、表面温度が下がる

防湿層を「室内側」に置く理由

冬は、室内の暖かく湿った空気が壁の中へ入り込もうとします。 壁の中は屋外側ほど冷たいので、奥まで入った水蒸気が露点以下になって結露します。 そこで、水蒸気の入口である室内側で止めるのが防湿層です。 屋外側に置くと、入り込んだ水蒸気を壁の中に閉じ込めてしまいます。

覚え方のコツ

  • 換気の方式は「2種は正(せい)で清潔、3種は負でトイレ」
  • 温度差換気は「上から出て下から入る(冬、室内が暖かいとき)」
  • 採光は「学校1/5、住宅1/7、その他1/10」、換気は「1/20」
  • 防湿層は「湿気の来る側=室内側」
  • 結露の判断は、いつも「その面は露点より冷たいか」

計算問題は必要換気量と換気回数、熱貫流量(熱貫流率×面積×温度差)が中心です。 式の形を一度自分で書き、単位を確かめながら解けば取りこぼしません。