防水とシーリングの問題は、「水はどこから入るか」「目地はどう動くか」の2つを考えれば解けます。 数値は国土交通省の公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版(以下「標仕」)の9章で確かめたものです。 「程度」と書かれた値は目安で、「以上」「以下」と書かれた値が基準です。

防水工事に共通する考え方

原則 理由
降雨・降雪の予想、下地の乾燥不十分、低温、強風、高湿のときは施工しない(標仕9.1.3) 下地の水分が接着不良やふくれの原因になる
プライマーは、下地が十分乾燥した後に清掃してから塗る 下地と防水層の接着をよくする
重ねるときは水下側を下にする 水の流れに逆らう向きに重ねると、継目から水が入る
上下層の継目を同じ位置にしない 弱点が一直線に重なるのを避ける
出隅・入隅・ドレン回り・配管回りは先に増張り 形が変わる部分は動きが集中し、破れやすい

アスファルト防水(標仕9.2)

下地

  • 出隅・入隅は、通りよく45°の面取り(一部の種別では入隅に成形キャント材を使える)
  • 立上りは、特記がなければコンクリート打放し仕上げ

溶融と張付け

項目 標仕の内容
アスファルトの溶融 局部加熱しないよう小塊にして溶かす。同じアスファルトの溶融を3時間以上続けない
溶融がまの位置 できるだけ施工箇所の近く。完成した防水層の上に置かない
ルーフィングの継目 幅方向・長手方向とも 100mm以上重ね、水下側を下に張り重ねる
立上りと平場 別々に張り、立上り部は平場に 150mm以上張り掛ける(立上りが400mm未満なら平場をそのまま張り上げてよい)
出隅・入隅の増張り 幅 300mm以上のストレッチルーフィングを最下層に増張り
打継ぎ箇所など 幅50mm程度の絶縁用テープの上に、幅300mm以上のストレッチルーフィングを増張り
押え金物 ステンレスビスで間隔450mm以下に留める

保護層

  • 平場の保護コンクリートは、特記がなければこて仕上げで 80mm以上、タイル張りなどの仕上げなら 60mm以上
  • 保護コンクリートには伸縮目地を設ける。周辺の立上りから600mm程度、中間は縦横3,000mm程度に割り付け、立上りの仕上り面まで達するようにする
  • 入隅部分には成形緩衝材を設ける(保護コンクリートの膨張で立上りを押し壊さないため)

改質アスファルトシート防水(標仕9.3)

  • トーチ工法は、トーチバーナーでシート裏面と下地をあぶり、改質アスファルトを溶かしながら密着させる
  • シートの重ね幅は、幅方向・長手方向とも 100mm以上。2層の場合は上下層の接合部を重ねない
  • 重ね部は、改質アスファルトがはみ出す程度まで十分にあぶって密着させる
  • 出隅は45°の面取り、入隅は直角でよい(アスファルト防水との違い。合成高分子系シート防水・塗膜防水も同じ)
  • 常温粘着工法は、はく離紙をはがしながら転圧して張る(火を使わない)

合成高分子系ルーフィングシート防水(標仕9.4)

シート 接合の方法 重ね幅
加硫ゴム系 接着剤・テープ状シール材 100mm以上(立上りと平場の重ねは150mm以上)
塩化ビニル樹脂系 熱風融着または溶剤溶着、端部を液状シール材でシール 40mm以上

塩化ビニル樹脂系は、シート同士を溶かして一体にするので、重ね幅が小さくて済みます。 3枚重ねになる部分は、加硫ゴム系では不定形シール材を充填、塩化ビニル樹脂系では熱風融着して隙間をなくします。 また、接着工法ではルーフィングシートに引張りを与えないように張ります。

塗膜防水(標仕9.5)

  • 塗継ぎの重ね幅は 100mm以上、補強布の重ね幅は 50mm以上
  • 打継ぎ箇所などの不具合のある下地は、U字形にはつってシーリング材を充填し、補強布で補強塗り
  • 材料は、可使時間に見合った量を練り混ぜる

シーリング工事(標仕9.7)

二面接着と三面接着

接着 仕組み 使う目地
二面接着 目地の両側の2面だけに接着し、目地底にはボンドブレーカーやバックアップ材で接着させない 動きの大きい目地(ワーキングジョイント)。外壁のパネル目地、金属笠木など
三面接着 目地底を含む3面に接着 動きの小さい目地(ノンワーキングジョイント)。打継ぎ目地、ひび割れ誘発目地、建具枠回りなど

目地が開くとき、三面接着だとシーリング材が目地底に拘束されて伸びられず、破断します。 両側だけに付けておけば、シーリング材全体がゴムのように伸び縮みできます。これが二面接着の理由です。

  • 目地が深すぎるときはバックアップ材を入れて所定の深さにする
  • 目地が所定の深さなら、目地底にボンドブレーカーを張る

目地寸法(特記がない場合)

目地 幅 深さ
コンクリートの打継ぎ目地・ひび割れ誘発目地 20mm以上 10mm以上
ガラス回り 5mm以上 5mm以上
その他の目地 10mm以上 10mm以上

施工の要点

  • 降雨・多湿で結露のおそれがあるとき、被着体が5℃以下または50℃以上になるおそれがあるときは作業を中止(保温・遮熱の措置をする場合を除く)
  • 充填は、原則として仕上塗材などの施工前に行う
  • プライマー塗布後、ごみが付いたときや当日に充填できないときは、再清掃してプライマーを塗り直す
  • 打始めは、原則として目地の交差部または角部から。打継ぎは交差部と角部を避けて、そぎ継ぎにする
  • マスキングテープは、へら押えの後、直ちに取り除く
  • 2成分形シーリング材は、1組の作業班が1日に施工した箇所を1ロットとしてサンプリングする
  • 外部に面するシーリング材は、施工に先立ち接着性試験を行う。簡易接着性試験では、シーリング材が**凝集破壊(または薄層凝集破壊)**すれば合格(接着面ではがれるのは不合格)

覚え方のコツ

  • 防水の重ねは「水下が下」、そして「上下の継目はずらす」
  • 重ね幅は「アスファルト・改質・加硫ゴムは100、塩ビは40」
  • 面取りは「アスファルト防水は出隅も入隅も45°、シート防水と塗膜防水は入隅を直角」
  • シーリングは「動く目地は二面、動かない目地は三面」
  • 打始めは「交差部か角から」、打継ぎは「交差部と角を避けて」

防水の選択肢は、手順の前後関係(増張りは先か後か、プライマーは乾燥の前か後か)を入れ替えた誤りが典型です。 「水の入り口を先にふさぐ」と考えれば、順序は自然に決まります。