鉄筋工事とコンクリート工事は、第一次検定の施工分野の中心です。 ここでの数値は、国土交通省の公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版(以下「標仕」)の原文で確かめたものです。 標仕は「特記がなければ」の標準値を定めているので、実際の工事では設計図書の特記が優先されます。
鉄筋工事
加工と組立の基本
- 鉄筋は常温で加工する(加熱して曲げない)
- 鉄筋に点付け溶接をしない。アークストライクも起こさない
- 切断はシヤーカッター等で行う
- 組立は、継手部分と交差部の要所を径0.8mm以上の鉄線で結束する
- 鋼製のスペーサーは、型枠に接する部分に防錆処理をしたものを使う
- 組立後は歩み板を置き、鉄筋の上を直接歩かない
異形鉄筋でもフックが要る箇所(標仕5.3.2)
異形鉄筋は節で付着するので、原則は末端のフックを省略できます。ただし次の箇所には付けます。
| 箇所 | 理由のイメージ |
|---|---|
| 柱の四隅にある主筋の重ね継手 | 出隅はコンクリートが割れやすく、付着が弱い |
| 最上階の柱の四隅の主筋の柱頭の定着 | 上からの押さえがない |
| 梁の出隅と下端の両隅の主筋の重ね継手(基礎梁を除く) | 出隅と同じ |
| 煙突の鉄筋 | 高熱を受ける |
| 杭基礎のベース筋 | 定着を確実にする |
| 帯筋、あばら筋、幅止め筋 | 常に必要 |
「出隅と、ぐるっと巻く鉄筋にはフック」と覚えます。
継手と定着
- 継手は重ね継手・ガス圧接継手・機械式継手・溶接継手の4種類。原則としてD35以上の異形鉄筋は重ね継手にしない
- 径が異なる鉄筋の重ね継手の長さは、細いほうの径で決める
- 重ね継手と定着の長さは、コンクリートの設計基準強度が高いほど短くなる(付着が強くなるため)。鉄筋の強度が高いほど長くなる
鉄筋相互のあき(標仕5.3.5)
次の3つのうち最も大きい値以上にします。
| 基準 | 値 |
|---|---|
| 粗骨材の最大寸法 | の 1.25倍 |
| 固定値 | 25mm |
| 隣り合う鉄筋の径の平均 | の 1.5倍 |
あきが狭いと、粗骨材が引っかかってコンクリートが回らなくなります。
最小かぶり厚さ(標仕 表5.3.6、特記がない場合)
| 部位 | 最小かぶり厚さ |
|---|---|
| スラブ・耐力壁以外の壁(仕上げあり/なし) | 20mm / 30mm |
| 柱・梁・耐力壁(屋内) | 30mm |
| 柱・梁・耐力壁(屋外、仕上げあり/なし) | 30mm / 40mm |
| 土に接する柱・梁・スラブ・壁 | 40mm |
| 基礎・擁壁・耐圧スラブ(土に接する) | 60mm |
鉄筋の加工に用いるかぶり厚さは、最小かぶり厚さに10mmを加えた値を標準とします。 加工の誤差や組立のずれがあっても、最小値を割らないようにするためです。 なお、建築基準法施行令79条の最低限(床・壁2cm、柱・梁3cm、土に接する部分4cm、基礎6cm)も合わせて覚えておきましょう。
ガス圧接(標仕5.4)
| 項目 | 基準(d は鉄筋径。径が異なるときは細いほう) |
|---|---|
| ふくらみの直径 | 1.4d以上 |
| ふくらみの長さ | 1.1d以上、なだらかな形状 |
| 圧接面のずれ | d/4以下 |
| 鉄筋中心軸の偏心量 | d/5以下 |
| 折れ曲り | 2°以下 |
| 圧接できない組合せ | 鉄筋の種類が異なる(SD345とSD390は可)、径の差が7mmを超える |
| 縮み代 | 圧接1か所につき鉄筋径程度 |
不合格のときの処置は、直す方法が2通りある点がよく問われます。
| 不合格の内容 | 処置 |
|---|---|
| ふくらみの直径・長さの不足 | 再加熱・加圧して修正 |
| 折れ曲り | 再加熱して修正 |
| 圧接面のずれ、偏心、片ふくらみ、焼割れなど | 切り取って再圧接 |
また、降雨・降雪・強風のときは、風除けや覆いを設けない限り圧接作業をしません。
コンクリート工事
調合と受入れ(標仕6.3・6.5)
| 項目 | 標仕の値 |
|---|---|
| 荷卸し地点の空気量 | 4.5%(許容差 ±1.5%) |
| 単位水量の最大値 | 185kg/m³(品質が得られる範囲で可能な限り小さく) |
| 単位セメント量の最小値 | 270kg/m³ |
| 塩化物量 | 塩化物イオン量で 0.30kg/m³以下 |
| スランプの許容差 | 8cm以上18cm以下は ±2.5cm |
スランプや空気量が外れたときに調合を調整しても、水セメント比は変えてはならないとされています。 水を足してやわらかくするのは、強度と耐久性を落とす典型的な誤りです。
運搬と打込み(標仕6.6)
- 練混ぜから打込み終了までの時間は、外気温が25℃以下なら120分以内、25℃を超えるなら90分以内
- 打込みの前に、打込み場所を清掃し、散水してせき板と打継ぎ面を湿潤にする
- 目的の位置にできるだけ近づけて打ち込む。柱で区切られた壁で、柱を通過させる横流しをしない
- 打込みの順序は、柱・壁 → 沈みが落ち着いてから梁 → 梁の沈みが落ち着いてからスラブ
- 打重ね時間間隔の限度は、先に打ったコンクリートの再振動可能時間以内
- 同じ打込み区画に、2つ以上の工場のコンクリートを打ち込まない
打継ぎ
- 梁・スラブの打継ぎは、スパンの中央または端から1/4付近(せん断力の小さい位置)
- 柱・壁の打継ぎは、スラブ・壁梁・基礎の上端
- 打継ぎ面のレイタンスとぜい弱なコンクリートを取り除き、水がたまらないようにする
締固め
- 棒形振動機は、打込み各層ごとに、下層に先端が入るようにほぼ垂直に挿入する
- 挿入間隔は60cm以下、加振は上面にペーストが浮くまで
- 引き抜くときは、穴を残さないように加振しながら徐々に
- コンクリート配管1系統につき、棒形振動機を2台以上配置する
養生(標仕6.7)
| セメントの種類 | 湿潤養生の期間 |
|---|---|
| 早強ポルトランドセメント | 3日以上 |
| 普通ポルトランドセメント、高炉セメントA種など | 5日以上 |
| 中庸熱・低熱ポルトランドセメント、高炉セメントB種など | 7日以上 |
硬化が早いセメントほど短く、遅いセメントほど長いという大小関係が本質です。 このほか、打込み後5日間以上(早強は3日間以上)はコンクリート温度を2℃以上に保ち、打込み後少なくとも1日間はその上を歩行・作業しません。
覚え方のコツ
- あきは「1.25倍・25mm・1.5倍の最大」
- ガス圧接は「1.4・1.1・1/4・1/5・2°・7mm」。ふくらみ不足と曲がりは「温め直し」、ずれと偏心は「切って圧接し直し」
- 打込み時間は「25℃を境に120分と90分」
- 打継ぎは「梁は中央か1/4、柱は床の上」
- 振動機は「60cm間隔、下層まで、ペーストが浮くまで」
- 養生は「早強3・普通5・遅い7」
数値の出典によって境目の書き方(「以下」か「未満」か)が違うことがあります。 このアプリの問題は標仕に合わせていますが、本番では数値の大小関係と理由で判断できるようにしておくと安心です。