構造力学の計算問題は、手順どおりに進めれば必ず答えが出る得点源です。 使う道具は「つり合いの式」だけ。この記事では図を使わず、梁の上の位置を「左の支点Aから何m」という文章で表して解いていきます。

道具はつり合いの3式

止まっている構造物では、次の3つが必ず成り立ちます。

式 意味
ΣX = 0 水平方向の力の合計が0
ΣY = 0 鉛直方向の力の合計が0(上向きの反力の合計 = 下向きの荷重の合計)
ΣM = 0 どの点のまわりでも、モーメント(力 × 距離)の合計が0

支点の種類

支点 生じる反力 反力の数
ローラー(移動端) 鉛直反力のみ 1
ピン(回転端) 鉛直反力・水平反力 2
固定端 鉛直反力・水平反力・モーメント反力 3

単純梁は、片方がピン、もう片方がローラーの梁です。 鉛直な荷重だけなら水平反力は0なので、未知数は左右の鉛直反力 RA・RB の2つだけになります。

反力の求め方(手順)

  1. 片方の支点(例えばA)のまわりでΣM=0を立てる。Aを通る力はモーメントが0なので、未知数がRBだけになる
  2. RBを求める
  3. ΣY=0から、RA = 荷重の合計 − RB

例題1 集中荷重が1つ

長さ6mの単純梁で、左の支点Aから2mの位置に、下向きの集中荷重12kNが作用している。

反力

  • Aのまわりのモーメント:RB × 6 = 12 × 2 → RB = 4kN
  • ΣY=0:RA = 12 − 4 = 8kN

荷重に近い支点ほど反力が大きいことを確かめておきましょう(Aは荷重から2m、Bは4m)。

曲げモーメント

ある点の曲げモーメントは、その点より左側(または右側)の力 × 距離の合計です。

点(Aからの距離) 左側から計算 曲げモーメント
0m(A) — 0
1m 8 × 1 8kN·m
2m(荷重点) 8 × 2 16kN·m(最大)
4m 8 × 4 − 12 × 2 8kN·m
6m(B) 8 × 6 − 12 × 4 0

曲げモーメントは支点で0、荷重点で最大、その間は直線的に変わります。 公式で書くと、支点Aから a、支点Bから b の位置に荷重Pがあるとき、最大曲げモーメントは P × a × b ÷ L(12 × 2 × 4 ÷ 6 = 16)です。 荷重が中央にあれば a = b = L/2 なので、PL/4 になります。

例題2 集中荷重が2つ

長さ8mの単純梁で、Aから2mの位置に6kN、Aから6mの位置に4kNの下向きの集中荷重が作用している。

反力

  • Aのまわり:RB × 8 = 6 × 2 + 4 × 6 = 36 → RB = 4.5kN
  • ΣY=0:RA = 10 − 4.5 = 5.5kN

曲げモーメント

点 計算 曲げモーメント
Aから2m(6kNの点) 左側から 5.5 × 2 11kN·m
Aから6m(4kNの点) 右側から 4.5 × 2 9kN·m

左から計算しても 5.5 × 6 − 6 × 4 = 9 で同じ値になります。 計算しやすい側から求めてよいのがポイントです。最大は11kN·mです。

例題3 等分布荷重

長さ6mの単純梁の全長に、1mあたり3kNの等分布荷重が作用している。

等分布荷重は、合計(3 × 6 = 18kN)が中央に集中して作用すると考えて反力を求めます。

  • 左右対称なので RA = RB = 9kN

中央(Aから3m)の曲げモーメントは、左側の力で計算します。 左側の等分布荷重は 3 × 3 = 9kN で、その合力は区間の中央(中央点から1.5m)に作用します。

  • 9 × 3 − 9 × 1.5 = 27 − 13.5 = 13.5kN·m

公式では wL²/8(3 × 6² ÷ 8 = 13.5)です。 等分布荷重の曲げモーメントは直線ではなく放物線の形で変わり、中央で最大になります。

最大曲げモーメントは「せん断力が0の点」

せん断力は、ある点より左側の力の合計(上向きを正)です。

例題 せん断力の変わり方 せん断力が0になる点
例題1 Aから2mまで +8、2mを過ぎると 8 − 12 = −4 荷重点(2m)
例題3 Aで +9、1mごとに3ずつ減る 中央(3m)

せん断力の符号が変わる点で、曲げモーメントが最大になります。 荷重が複雑なときは、まずせん断力が0になる位置を探すと、最大曲げモーメントの位置がわかります。

公式のまとめ

梁と荷重 反力 最大曲げモーメント 最大の位置
単純梁・中央に集中荷重P 各 P/2 PL/4 中央
単純梁・任意の位置に集中荷重P RA = Pb/L、RB = Pa/L Pab/L 荷重点
単純梁・全長に等分布荷重w 各 wL/2 wL²/8 中央
片持ち梁・先端に集中荷重P 固定端で P PL 固定端
片持ち梁・全長に等分布荷重w 固定端で wL wL²/2 固定端

覚え方のコツ

  • 反力は「片方の支点でモーメント、残りは足し算」
  • 反力は「荷重に近い支点ほど大きい」。答えの検算に使える
  • 曲げモーメントは「片側だけ見る、力 × 距離」
  • 等分布荷重は「合計を真ん中に置き換える」
  • 公式は「集中は4、分布は8」(PL/4、wL²/8)。片持ち梁はそれぞれの4倍(PL、wL²/2)

単位にも注意しましょう。反力は kN、曲げモーメントは kN·m です。 選択肢に単位の違う数値が並ぶこともあるので、式を書くときに単位も一緒に書いておくと安全です。