ネットワーク工程表の問題は、「どの経路がいちばん長いか」を見つける足し算の問題です。 本試験では矢印の図で出題されることがありますが、この記事では図を使わず、 「どの作業が終わったら、どの作業を始められるか」を表にして同じ計算をします。

用語

用語 意味
アクティビティ(作業) 矢線で表す作業。所要日数を持つ
イベント(結合点) 作業の始まりと終わりの点
ダミー 作業の順序関係だけを表す点線の矢線。所要日数は0
クリティカルパス 開始から終了までの経路のうち、所要日数の合計が最も長い経路。その日数が工期になる
トータルフロート(TF) 工期を延ばさずに、その作業が遅れてもよい最大の日数
フリーフロート(FF) 後続作業の最早開始を遅らせずに、その作業が遅れてもよい日数

例題

作業 日数 先に終わっている必要がある作業
A 2 なし
B 4 A
C 3 A
D 5 B
E 3 B と C の両方
F 5 C
G 2 D、E、F のすべて

E のように2つの作業の完了を待つ関係は、矢線の図ではダミーで表されます。

手順1 経路を書き出す

経路 日数の合計
A → B → D → G 2+4+5+2 = 13日
A → B → E → G 2+4+3+2 = 11日
A → C → E → G 2+3+3+2 = 10日
A → C → F → G 2+3+5+2 = 12日

最も長い A → B → D → G がクリティカルパスで、工期は13日です。

手順2 最早開始を前から求める

合流する作業は、先行作業のうち遅く終わるほうに合わせます。

作業 最早開始(ES) 最早完了(EF = ES+日数)
A 0 2
B 2 6
C 2 5
D 6 11
E 6(B の6と C の5の大きいほう) 9
F 5 10
G 11(D の11、E の9、F の10の最大) 13

手順3 最遅完了を後ろから求める

分かれる作業は、後続作業のうち早く始めなければならないほうに合わせます。

作業 最遅完了(LF) 最遅開始(LS = LF−日数)
G 13 11
D 11 6
E 11 8
F 11 6
B 6(D の6と E の8の小さいほう) 2
C 6(E の8と F の6の小さいほう) 3
A 2(B の2と C の3の小さいほう) 0

手順4 フロートを求める

  • TF = 最遅完了 − 最早開始 − 日数
  • FF = 後続作業の最早開始(の最小) − 自分の最早完了
作業 TF FF
A 0 0
B 0 0
C 6−2−3 = 1 5−5 = 0(後続 F の最早開始は5)
D 0 0
E 11−6−3 = 2 11−9 = 2
F 11−5−5 = 1 11−10 = 1
G 0 0

TF が0の作業(A・B・D・G)がクリティカルパスで、手順1の結果と一致します。

C と F の余裕は「共有」

C と F はどちらも TF が1日ですが、これは同じ経路(A → C → F → G)の1日を分け合っている余裕です。 C が1日遅れると F の余裕はなくなります。C の FF が0なのはこのためです。 FF は必ず TF 以下になります。

工期短縮の考え方

工期を縮めるには、クリティカルパス上の作業を短くします。それ以外を短くしても工期は変わりません。

例題で D を2日短縮(5日 → 3日)すると、A → B → D → G は11日になります。 しかし A → C → F → G が12日のままなので、工期は12日です。2日縮めても工期は1日しか縮みません。 このように、短縮していくと別の経路が新たにクリティカルパスになることがあります。

ほかの工程表との比較

工程表 わかること わかりにくいこと
バーチャート(横線式) 各作業の開始・終了の時期と所要日数。作成が簡単 作業間の関係、どの作業の遅れが工期に効くか
ガントチャート 各作業の進捗率(達成度) 各作業の所要日数、作業間の関係
ネットワーク工程表 作業の順序関係、クリティカルパス、余裕日数 作成と修正に手間がかかる
斜線式工程表 延長方向に進む工事の進み具合 建築工事ではあまり使わない
曲線式(出来高累計曲線) 工事全体の出来高の累計。予定と実績の比較 個々の作業の状況

工程計画の基本

考え方 内容
山積み 作業ごとに必要な人数・機械の台数を日ごとに積み上げ、資源の必要量の山を見る
山崩し フロートのある作業の開始を動かし、資源の山を工期を延ばさずに平らにする
工期と費用 工期を縮めるほど直接費(労務費・材料費など)は増え、延ばすほど間接費(現場管理費など)は増える。合計が最小になる工期が最適工期
突貫工事 無理に工期を縮めると、費用が急増し、品質・安全の低下を招きやすい

山崩しで動かせるのはフロートのある作業だけです。クリティカルパス上の作業を動かすと工期が延びます。

覚え方のコツ

  • 「クリティカルパス = 最長経路 = TF が0の経路」
  • 前進計算は「合流では大きいほう」、後進計算は「分岐では小さいほう」
  • 「TF は工期まで、FF は次の作業まで」の余裕。だから FF ≦ TF
  • 工期短縮は「クリティカルパスを縮める。縮めすぎると別の経路が主役になる」
  • 工程表は「バーチャートは日程、ガントは進捗率、ネットワークは関係と余裕」

迷ったら、まず全経路の日数を書き出してください。 経路の数が少ない問題なら、それだけで工期もクリティカルパスも答えが出ます。